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ハンブルク行政視察報告 2

2016.05.27

5月18日(水)

10:00~

■ハンブルク日本総領事館 安沢総領事表敬訪問

・総領事館はハンブルク市役所前に位置しており、日の丸と菊の紋章を掲揚しているので直ぐわかる場所に位置している。ビルの5階にありフロア入口は厳重に警備されており、携帯等の通信機器類は持ち込めない。総領事の部屋では、撮影はできるのだが窓を映してはならないという規則がある(警備上の問題で、窓を撮影し外部に漏れると室内レイアウトが把握されてしまうとの事であった)。安沢総領事は気さくな方で、現在のドイツの経済、エネルギー、環境問題などを教えていただく。

 

11:00~

■ドゥーデン・ハンブルク州議会副議長表敬訪問

・SPD(社会民主党)所属。ハンブルクでは、兼業議員が主であり本人もハンブルク州公共図書館で図書館司書として昼間は働いている。議会は5時頃からはじまるために議員活動には支障がない。議員歳費は月額2600ユーロであり(約33万円)、議員歳費は各州によっても違うとのことで、バイエルン州では面積が広いために議会では宿泊が必要になり兼業し難いなどの点を考慮して、約150万円の歳費が支払われている。基本的には、同理由で南ドイツの歳費は高くなっている。

ハンブルクは、特別市であるので州と同じ扱いである。州議会議員は121名、6会派に分かれている。現在、与党はSPD(58議席)と緑の党(14議席)が連立を組んでいる。2015年2月に市議会選挙が行われ、第一党のSPDは45.7%の得票率で第一党の地位を堅持した(62議席が58議席に減)。ただし、過半数を失ったため緑の党と連立政権を樹立している。メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)は28議席を20議席に大幅に減らし、緑の党と自由党(FDP)は現状維持(それぞれ14議席と9議席)。新たに、ドイツのための選択(AfD)が8議席を獲得して躍進した。

ちなみに、SPDは中道左派政党という位置づけである。

ハンブルクは港が観光資源である、というのは港自体がドイツ国内では珍しい。主に国内旅行者向きで外国人あまり来ない。北ドイツは風力発電が主となっている。陸上だけでなく、海上風力発電などの技術も進んでいる。ハーフウェイシティなどは、UNESCO世界遺産に登録されている。経済状況としては、ユーロのお陰でドイツは非常に潤っている(輸出が好調であるため)。各国の財政政策が統一されていないため、EU南側(ギリシャ、イタリア)などは主産業が観光業のため、ユーロ高では観光客が来ない。特に、ギリシャなどは産業がないので財政が非常に厳しいままである。

その後、役所内を見学させてもらうが、博物館かと思うほど壁画や彫刻の重厚、華麗さが歴史を感じさせる。

12:30~

■メディカルツーリズム、レクチャー及び意見交換 Dr.Monika Rulle氏

・観光業による観光税増収のため10年前より開始した。治療がメインになり主にロシアからの患者が多い。ガン、整形外科などの長期治療が多く1患者平均3人の家族を連れてくる。12病院が参加しており、それぞれインターナショナル・オフィスがあり家族等のコーディネーターをしている。費用は、通常の3,4倍掛かるが臓器移植はやっていない。平均費用はトップシークレットとのこと。昼食をとりながらの、レクチャーだったために十分なメモが取れなかったのが残念である。

 

14:00~

■内務・スポーツ省参事、レクチャー及び意見交換 Christoph Holstein参事(於:市役所)

・ハンブルクは2024オリンピック誘致に向けて開催地立候補を考えていたのだが、住民投票による反対多数のため立候補事態中止になった。今後は、東京などの大都市のオリンピック開催について興味があり、行政の手腕を見てみたいと考えている。スポーツ行政としては、今後はオリンピック競技をどのように重点化し強化していくのか、50程度の競技に絞り込み支援や施設設備を進めたい。

ドイツでは、サッカー人気が絶大(1部2部リーグとも)でそれ以外は国民的には盛り上がらない。マスコミ、スポンサーがサッカーのみ注目するため、行政はそれ以外のスポーツが盛り上がるように支援している。スポーツには、青年育成、移民対策、経済効果などの多様な目的が存在している。例えば、ハンブルクマラソンは2万人規模の市民のマラソン大会であり、一人当たり2人を連れてくるため経済効果が大きい。

市内には400の学校等が所有するスポーツホールがあるので、そこを様々なスポーツに活用したいとも考えている。また、移民等も含め多民族をまとめるにはサッカーなどの、チームワークが必要な競技を活用することも重要である。

私は、内務・スポーツ省の質疑担当だったので、事前に市民とスポーツとの関わりやスポーツ・ツーリズムについて調べており質問を考えていた。しかし、ここでは30分しか時間がなかったために下記要望と質問しかできなかった。

(要望)ハンブルクはソフトボール、ホッケー、乗馬、ボート、水泳、ヨット、バレーボールのオリンピック支援拠点となっておりますが、これらの多くの競技について神戸は国内のトップクラスの施設を提供できます。具体的に言えば、ソフトボースはプロ野球も使用する野球場もあり、またサブグランドも完備している。乗馬などは、「しあわせの村」という総合施設に乗馬センターがあり宿泊所も併設しているので、移動時間のロスなく合宿ができる。また、ヨットは阪神間では唯一の須磨海岸という海水浴場があり、ヨットレースも行われるなどヨットの合宿に適した立地である。また、神戸という街は全体的にコンパクトシティのため移動時間が非常に少なく済むというメリットがあります。是非とも2020東京オリンピック・パラリンピックに際してはドイツナショナルチームの神戸での滞在を考えていただきたい。

(質問)神戸市にもハンブルクと同様に市民参加型の2万人規模のマラソン大会があります。それに出場するにも、4,5倍という高倍率の抽選に当選する幸運が必要になります。神戸にとっても大きな経済効果があるこのような大会は、県内外や国内外からも参加があります。私は、このような体験型観光をスポーツ・ツーリズムとして観光客増加につなげて行きたいと考えている。ハンブルクではそのような取り組みはあるのか。

→確かに経済効果は大きいとは思うが、今のところそういった取り組みは行っていない。

15:00~

■経済省、レクチャー及び意見交換  Rediger Hintze局長 Kolja Harders局長(於:経済省)

ハンブルクのクラスター政策について

1988年開始。イノベーションの発揮、雇用促進、環境に優しい都市づくり等が大きな目標であり、特長は、産・官・学が協力して地域経済協力により北ドイツ経済圏を活性化している。州が予算を組み資金を提供、企業と大学が協力して知的所有権を共有するなどの規定が作られている。そして成果としては、産業集積の発展、所得増、人口増につながっており数字上にも表れている。現在は8分野のクラスターがある。

16:00~

■クラスターハンブルク・アビエイション、レクチャー及び意見交換(民間航空クラスター)

CEO DR.Franz-Josef Kirschfink氏

最も成功している例としては、民間航空クラスター(クラスターハンブルク・アビエイション)であり、シアトル(ボーイング)、トゥールーズ(エアバス)についで世界3位である。エアバスドイツ社、ルフトハンザテクニクス社という2大企業が、ハンブルク空港を中核に中小企業約300社の中小企業のサプライヤーが参加、そして多岐におよぶ技術学術機関がノウハウに寄与しています。人材育成で多大の成果が出ており、彼らの技術能力は航空機全てのライフサイクルをカバーします。開発、製造、組立から更に航空輸送システム、メンテナンス、修理、分解修理、そしてリサイクルに至るまでとのことで、総数4万人総雇用者数となっています。

クラスター機関は共にひとつのゴールを目指しており、相互に結びついた研究と高品質な製品開発及びサービスをもって、乗客に優しく、資源の保護に基準を打ち立てる未来の航空産業を市場にもたらすことです。

17:20~

■文化省、レクチャー及び意見交換 文化総局長 Hans Heinrich Bethge氏(於:文化省)

ハンブルクは大阪市と姉妹都市として文化交流をしている。これまでも本市から、多数の音楽家が生まれている。特に有名なところでは、メンゼルスゾーン、ブラームスなどは世界的な有名音楽家である。現在も多数の音楽家が活躍しており、神戸がジャズの街ということも知っている。市内には多数のジャズ演奏家も存在している。こういった音楽文化等は、基金や一部の篤志家が支えており、行政が補助金などを拠出している訳ではない。最近、神戸市であった国際フルートコンクールの行政補助金の打ち切りの件についてどう思うか、質問したところ、ドイツでは考えられない。まず文化を行政が保護することもないし、民間基金などが枯渇することがないようシステム、法律が出来上がっているとのことであった。

※ハンブルク市役所 image

ハンブルク行政視察報告 1

2016.05.27

神戸市会「日独友好神戸市会議員連盟」で下記内容でドイツハンブルクに行政視察を実施しましたので、報告いたします。

日独友好神戸市会議員連盟ドイツハンブルク行政視察報告

【視察実施日程】    2016.5.17~2016.5.22

【視察地】       ドイツ連邦共和国自由ハンザ都市ハンブルク

【視察スケジュール】

5/17(火)

10:00 大阪関西国際空港発 LH741

17:05 ハンブルク国際空港着

 

5/18(水)

10:00 安沢総領事表敬訪問(至総領事館)

11:00 Ms.Duden副議長表敬訪問(至市庁舎)

市議会議事堂等見学

12:30 メディカカルツーリズム、レクチャー及び意見交換

Dr.Monika Rulle氏

14:00 内務・スポーツ省訪問,レクチャー及び意見交換(至市庁舎)

Christoph Holstein参事

15:00 経済省、レクチャー及び意見交換(至経済省)

Ruediger Hintze局長

16:00 航空クラスター、レクチャー及び意見交換

Dr.Franz-Josef Kirschfink

17:20 文化省、レクチャー及び意見交換(至文化省)

Hans Heinrich Bethge総局長

 

5/19(木)

9:10 ハンブルク港湾当局、レクチャー及び意見交換(至Neuer Wandrahm4)

Dr.Kai-Dieter Classen氏

10:20 再生エネルギークラスター、レクチャー及び意見交換

ManagingDirector Jan Rispens氏

11:10 ハイソリューションズ、レクチャー及び意見交換

11:40 SenvionSE意見交換

Fernando Soares氏

14:00 ハンブルク清掃局、レクチャー及び意見交換(至SRH)

Lukas Schafer氏

16:00 ハーフウェンシティ説明・現地視察(至HafenCity)

 

18:00 総領事公邸レセプション(至日本総領事公邸)

5/20(金)

9:15 ライフサイエンスクラスター、レクチャー及び意見交換(至CiM)

Dr.HinrichHabeck氏

10:45 Sysmex Inosticsレクチャー及び意見交換

Dr.Frank Diehl氏

15:00 エアバス社説明・工場内視察

 

18:30 独日協会招待の会食(Alster湖)

 

21:30 日本人会・総領事共催花火大会レセプション

 

5/21(土)

11:00 ハンブルク国際空港発(LH15便)

13:30 フランクフルト国際空港発(LH740便)

 

機中泊

5/22(日)

7:20 関西国際空港着

 

【ハンブルク】

ハンブルク(Hamburg)は、首都ベルリンに次ぐドイツ第二の都市で人口が約170万人。エルベ川河口にあり(海から内陸約100Km)、古くから港湾都市として繁栄した。市の中心部にアルスター湖があり、エルベ川とは数多くの運河で結ばれている。大阪市とは姉妹都市。

【ハンブルクの経済・産業】

ハンブルクの経済構造はサービス業に特徴付けられ、全ての労働人口の約4分の3がこの分野に従事しています。それにもかかわらず、ハンブルクはまた重要な工業の中心地でもあり、商工会議所には14万社以上の企業が登録されています。

ハンブルクには多くの革新的な成長産業があり、特に目覚ましいのは港湾/運輸、ライフサイエンス、航空産業、海洋産業、メディア/IT部門です。これらはクラスター政策を1998年からとっており、現在は8分野のクラスターが存在します。

(8分野のクラスター)

1997:メディア・IT

2000:航空・宇宙クラスター(炭素繊維バレーの形成)

2004:ライフサイエンス、メディカルツーリズム

2004:港湾ロジステック(海運、陸運)

2008:創造セクター(デジタル情報分野)

2010:再生エネルギー(風力、太陽光、水素発電)

2010:健康ケア

2010:北海・海洋クラスター

 

環境イノベーションが2大目標で、産(商工会議所)、官(政府)、学(ハンブルク工科大、ハンブルク大、ハンブルク応用科学大学他)連携で強力に推進。環境とイノベーションの相互作用により経済発展を実現している。

国内総生産、年間十問一人当たりの経済力の高さがドイツで一番高く、ドイツの州平均より可処分所得が約25%高い。他州では人口減少に転じているが、ハンブルクは人口が増加しており、就業者の人口もコンスタントに増加している。

 

ハンブルクは北欧・東欧地域における主要貿易地でもあります。

冷戦による政治的分断がなくなり、北欧・東欧への経済拡張に伴い、ハンブルクはその地位を北部・東部欧州における有数の貿易都市へと発展させました。貿易規模は1兆ユーロ以上に上り、バルト海地域の貿易と交通において重要な役割を担い、バルト海経済圏とそのほかの経済圏を結ぶ中心的役割を担っています。今や貿易会社は32000社を超え、雇用者数も12万5千人以上が関連会社に従事しています。その上、海外貿易だけでなく9千社強が卸売/小売業に、そして4100以上の企業が貿易仲介業に従事しています。ほぼ600の企業が通信販売業を行っており、国際的に活動する多くの貿易会社がハンブルクに本社を置いています。

 

優れた国立及び私立大学や名の通った研究機関が近郊、遠方からハンブルクに施設を置き、9千以上の研究者と8万人以上の学生がハンブルクを学術の中心地として、彼らのアイデアと取り組みでハンブルク大都市圏におけるイノベーションと新しい知識の誕生に貢献しています。そして多くの企業がこの事に気付き、企業と学術機関は密接に協力・連携しています。

 

ハンブルクはブランドの首都でもあります。他のどの都市よりも、独創性あふれる企画者、ビジネスマン、そしてクリエイティブなマーケティングアドバイザーが多くの発明を市場性ある商品へと高め、製品を商業的成功へと導いています。ホルステン、ニベア、モンブラン、ラングネーゼといった世界的ブランドがハンブルクから生まれています。

HWF(ハンブルク・マーケティング公社)、ハンブルク経済振興公社は民営の法人形態をとったコンサルタント公社で、企業を事業拡張、企業再編成、または投資プロジェクトにおいてサポートしています。ハンブルク経済圏に現地法人の設立を希望する企業には、HMFの「外国企業向けサービス」チームが多岐に渡るサービスを無料提供します。内容は立地に関するアドバイスから商業用不動産の情報提供、さらに投資家に関するアドバイスに及びます。さらに、会社設立における支援・サポート、滞在及び労働許可取得におけるサポートも行います。

今回の各省庁や、クラスター、企業の意見交換の調整等もHWFに行って頂きました。

 

【ハンブルクと日本の関係】

ハンブルクと日本の良好な関係には、150年を超える伝統があります。1910年に、最初の在独日本領事館がハンブルクに開設されました。ハンブルク大学には、ドイツ最古の日本学講座を設置しており、1967年から毎年開催されている日本桜祭りは、日本とエルベ河畔の大都会を結ぶ友好の絆を象徴するもので、ハンブルクはヨーロッパ唯一の都市として桜のプリンセスを選考する特権を享受しています。また、大阪と姉妹都市のある横浜との良好な関係維持に努めています。100社を超える日本企業がハンブルク大都市圏に進出しており、約6000人の雇用を生み出しています。現在は、約2300人の日本人・日系人がハンブルクとその周辺で生活しており、さまざま団体やネットワークに所属しています。1981年からは日本人学校も開校されていて、ここで130人ほどの生徒が日本の教育制度に則って授業を受けています。

 

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4.24 兵庫維新の会決起大会

2016.04.28

2016.4.24、新神戸ANAクラウンプラザホテル10Fボールルームにおきまして、おおさか維新の会、兵庫支部である兵庫維新の会決起大会、並びに橋下徹講演会を開催いたしました。
1200席が満席になる程の盛況の中、無事終了いたしました。当日ご参加くださった皆様方には感謝いたします。ありがとうございました。
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