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経済港湾委員会 行政視察レポート①

2017.11.20

経済港湾委員会 行政視察を行いました。

日時:2017年11月13日~15日

場所:●横浜市、八景島シーパラダイス「水族館アクアリゾーツについて」

●横浜市役所「地産地消の推進について」

●逗子市役所「海水浴場の健全化及び活性化について」

●箱根町役場「観光振興策及び保養所等転活用について」

以下順次報告していきます。

11月13日(月) 14時~16時

  • 視察先:横浜・八景島シーパラダイス

「水族館アクアリゾーツについて」

神奈川県横浜市金沢区八景島にある水族館・アトラクション・ショッピングモール・ホテル・マリーナなどで構成した複合遊園地である。

経営は民間会社(株)横浜八景島であり、株主は(株)プリンスホテル、京浜急行(株)、清水建設(株)、横浜銀行(株)など計7社であり西武グループの企業である。

1987年に横浜市の事業コンペ応募で優秀案に選定され、1990年会社設立、1993年開業という歴史である。

八景島は横浜市が埋め立てた造成島であり、そのうちの一部を貸し付けて八景島シーパラダイスを運営している。貸付期間は30年とのことだが、貸付料金は応えていただけなかった。総面積は約24haであり、貸付面積は約7.6haである。従って、八景島そのものは、横浜市が管理する公園のため、入場は無料である。

名称のアクアリゾーツは総合的な名称で、実際は「アクアミュージアム」「ドルフィンファンタジー」「ふれあいラグーン」などとそれぞれエリアが分かれている。

・ドルフィンファンタジー:まずここから見せていただいたのだが、文字通りイルカ展示を中心とした水族館である。トンネル状の水槽と円筒型の水槽で構成されており、私たちは、まさに水の底からからイルカを見る上げる形になる。見せ方が非常に工夫されており、まるでイルカ達と一緒に水中にいるような感じになる。円形水槽は、ぐるっと一周できるようになっており、どの角度からもイルカを観察できる。

・ふれあいラグーン:クジラ類を間近で観察できるように水槽の縁が低く設計されており、実際触れることもできる。ウエットスーツ着用で一緒に泳げるオプションも用意されている。ペンギン、ゴマフアザラシ、セイウチなどもおり、日替わりふれあいプログラムで実際に触れて写真撮影ができる。(料金要)

・うみファーム:コンセプトを「海育」として、食育プログラムが実施されている。ここでは、実際釣り堀から魚を釣り、調理して食べるということを行っている。釣り上げた魚は必ず食べることをルールとしており、魚によって料金が違い、アジは1匹190円、鯛は2500円との事でした。

・アクアミュージアム:ここがメインの水族館になり、日本最大級の水族館である。大水槽の中にアクアチューブがありエスカレータで上がっていく事ができ、目の前でイワシの大群泳が見られます。アクアスタジアムでは、海の動物たちのショーが見られます。待ち時間なども、観客達をステージ上のモニターで映すなどで楽しませる工夫をしていた。約30分のショーは、テレビ番組風に各コーナーに分かれており、登場動物がセイウチ、アシカ、イルカなど様々に変わりショーが楽しめるようになっていた。

施設視察後に説明を受け、質疑応答後終了となった。年間に八景島には約380万人が訪れ、そのうちアクアリウムには160万人入館する。設立後25年が経過しており、民間として生き残るためには、リピータの取り組みが必要であり、年間通しての企画イベント、定期的なハードの整備・開業など投資を続けている。営業推進部は、Event、広報、宣伝、WEB SNS、など様々なコンテンツを使って情報発信し、拡散を狙っている。また、積極的にCSR活動にも取り組んでおり、社会貢献にも継続的に取り組んでいる。

横浜市は、横須賀側の横浜南地区の地域振興策として人口島造成を通じて地域活性化を観光産業に求めた。そして、八景島シーパラダイスにより八景島都市ブランド向上に繋げたようである。これによって鉄道利用客数も大幅に伸び定期的な収入増につながることになる。この施設には、正社員約230名、アルバイト約500名と雇用を生んでいる。客単価は1名4000円との事であったが、詳細に料金が発生するシステムになっており実際はもう少し単価は高いのではないかと思う。

神戸市でも、新港突堤西部の再整備にアクアリウムが計画されていたり、須磨海浜水族園も民間資金による建て替えも予定されている。須磨水族園などは、近隣の須磨海浜公園、ヨットハーバーなどのシーサイドゾーンを利用しての一体化したアクアリウムゾーン計画を立てることなどで、公園を中心とした民間活力導入のPMO事業ができないか検討するべきであると考えさせられた視察であった。

米国視察報告・サンフランシスコ市役所編(9)

2017.11.10

【日時】2017年8月1日  11:00~12:00

【訪問先】サンフランシスコ市役所STiR(Startup in Residence)

【対応者】クリスティーナ アンドリュー 氏(市長改革室)

【内容】市民サービスプログラムとして、2012年市長室より市内諸問題解決のため市内改革のため立ち上がった部署である。(市政では初めての部署)

政府と民間の橋渡しの役割も担っており、政府の人材を活かす活動を行っている。2017年改革室として、市政に取り組まれる(ボストン、フィラデルフィアなどで開始された)。サンフランシスコでは市長室が管轄しており、他の都市は管理・クノロジー部門に所属している。ビジョンは市長室として、オープン、改革、対応の早さを心がけている。常に優先順位を考えて、民間活用してテクノロジーにより実現している。SFには60部署あり、AtoZ(AirportからZooまで対応しているという意味がある)まで問題があれば市政テクノロジーで解決する。昨年強化民間パートナーシップを始め、市政の中にスタートアップをおいている(神戸市と似ている)。市の中に16週間のプログラムを設定して、ソリューションなどの問題解決策を策定する。最後は政府で買い取るシステムを作っている。SFから開始し、政府が支援金を出しておりオークランド、ウエストサクラメント、で広がっている。市の大小関係なく対応できるシステムになっている。

Q)子育てなどの女性活用の問題解決方法は?

A)自分の対象外の質問であるが、保育所(低収入家庭)には補助金を出し、女性ステータス部署で女性が公平に働けるような活動をしている。政府の中でも女性リーダーが多く1つの代表区の半分が女性である。また、市政の半分が女性で構成されている。市長も2人の娘がおり女性問題には関心を持っている。

 

Q)テクノロジーを使っての解決方法は?

A)成功例は、里親紹介プログラムである。人的サービス機関が行っている。これまで300日かかっていた手続きが40%短縮された。これは、手続きをシンプルにしたいとの事で、改善策が話し合われスタートアップが開始された。テクノロジーによって簡素化され、より多くの時間が家族との話し合いや顔合わせに使えるようになった。

 

Q)ビッグデータをどのように市政改革に活用しているのか?

A)ジョイナスが2009年データ公開提案した。2012年市長室で改革室を作り動きを強めた。チーフオフィサーデータとして、データ公開して市民・市政に使えるようになった。オープンデータ政策としては、様々な部署から、安全・プライバシーなどの面から抵抗があった。リスクもあるが、公開することによってメリットもあり、経験値も増え様々な施策が生まれた。データは市民のものであり、プライバシー以外は公開するルールを作った。SFデータポータルより誰でもアクセス可能となり、誰がアクセスしているか監視している。最も多いのが市の職員という事も分かった。例えば、不動産部門データ公開しており、市内は家の確保が難しいので、市内の不動産計画などの様々な部署からのデータをオープンしている。これらは一元化して活用することができる。データによって公開するだけでなく、問題解決に活かす。

データアカデミーがあり、職員がデータプログラム、受付、情報管理、どう活用するのか、より良い公務員になるのかプログラムが組まれている。2年前に久元市長が来た時にこのことを知り、データオープンを重要性を知り、神戸市でもデータアカデミーを作ろうという事で役所内に勉強会を始めている。

米国視察報告・サンフランシスコ、リフト社編(8)

2017.11.10

【日時】2017年7月31日   17:00~18:30

【訪問先】サンフランシスコ Lyft社

【対応者】 Lia Theodosiou-Pisanelli氏

兼松 雄一郎 氏(日経新聞 シリコンバレー支局)

 

【内容】

ローガン・グリーンCEOは政府公共交通部門の出身であり、なぜ都会に渋滞が起こるのか、また、ジョン・ジマーCEOはホテルに勤務しており、ホテルへのアクセスが悪いという苦情を受けており、どちらも交通問題に対して疑問を持っていた。そして、リフト社は2012年に立ち上げた会社である。

なぜ、このビジネスを立ち上げたのか?アメリカでは、交通移動費が生活費の中で2番目に経費が掛かる。内訳はほとんどが自動車の維持管理の費用である。また、アメリカ人が通勤・通学にかかる時間は年間30ビリオン時間というデータも出ているくらいとても長い時間を移動に費やしている。そして、各家庭の車使用率は4%であり、96%は使用されていない。各都市の駐車場も使われていない。そういう諸問題を解決するために、ライドシェアサービスが誕生して、今や再大手のウーバーに対抗するかたちで、リフト社が台頭してきて2大シェア争いを行っている。リフト社の過去6か月の統計グラフを見ると、1日平均ライドシェアは100万回利用されており、今や350都市、1500人の従業員が働いている。そして、9割方がウーバーとリフト社が占めており、西海岸はリフト使用率が高い。

2025年までにはアメリカ大都市では、車を所有することが無くなる社会がくる。持つことより、シェアすることで必要な時だけ車に乗るという社会がくると予測する。現時点では年間9000ドルが各家庭で車代に消えている。それによって、都会の公共交通のシステムを考えないといけなくなる。現に、アメリカでは高速道路が公園になったり、ニューヨークの鉄道が遊歩道になったりしている。

今後は、3つの車の乗り方の検討が進んでいく。

1.ライドシェア 2.公共交通と組んで目的地に運ぶサービス 3.自動運転

それは、下記の観点から検討されている。

リフト社は5分以内に90%の客が乗れて、目的地に行けている。相乗り率が40%と高くなっており、“リフトライン”として稼働している。相乗り率は当初は低かったが、慣れてくると率も高くなるデータがある。

公共交通とはパートナー連携している。サンフランシスコでは、鉄道の駅から40%の人がリフトを使って目的地に移動している。ただし、距離は1マイル以内が多い。

自動運転は現在は全米で1000台未満が稼働しているが、将来はほとんどが自動運転になる予測である。2030年までに乗客90%(EV)に乗っている推定予測で、コストが1/10になっている。そして、10年後はほとんどが自動運転である。自動運転化は低速走行から徐々に高速走行に広がっていくだろう。リフト社も自動運転の車を開発しようと考えている。

アメリカ各地の状況としては、コロラド州では、市バスの空席率が高く1人しか乗っていない時間がある。代わりにリフト社が客を乗せている。システムとしては、ルートが決まっておらず、客が集まりやすい所に迎えに行き効率良いルートを決めている。そして、バスを止めて自治体がリフト社に補助金を出すことになっている。

サンフランシスコでは、路面電車の止まっている期間(時間・区間)リフト社を走られせて欲しいと自治体からの要請があった。

空港では、タクシー業界との争いがあったのだが、駐車場を減らしたい空港側と折り合いがつき、客にはリフトを使って空港まで来てもらう、空港からは乗り場を使わせてもらうということになった。

ウーバー社とリフト社の違い。

リフト社は公共交通団体とパートナーシップを組んでいる。自治体には、法律に沿う必要があるので、アメリカのみの対応であり国際展開はその国の法律を調べてから入り込む。アメリカでも各州法律が違うので、政府・自治体と交渉が必要で難航する場合もある。

託し業界との軋轢について。

ニューヨーク市は市長の後援組織がタクシー業界なので、組合が強い地区である。法律が厳しく、プロドライバーしか客を乗せてはいけない。市内の60~70%がタクシーである。他はワシントンDCも厳しい都市である。

日本進出の可能性はあるのか。タクシー業界がリフト社と組むことができるのか

世界中から問い合わせがあり、様々な諸問題がある。今のところ日本は考えていない。チャンスがあると考えるが利益になるのかどうか、なぜ、日本のタクシー業界は利益がでないのか、考える必要がある。タクシー40ドルかかる場合、リフトなら、15ドル、相乗りなら8ドル。(サンフランシスコ市内→空港)

それでも利益が出ている。

 

【所見】

ライドシェアサービスは、時間のある車の所有者、乗客、お互いがウィンウィンの関係になるシステムである。実際、私たちも訪米中はすべて、リフトかウーバーを利用して移動した。アプリさえ入れれば、金銭授受やチップのわずらわしさもなく、また、タクシーより低額で利用でき、待ち時間も短縮される。なんら危ないことも無かったし、ドライバーの評価も確認できる。

車の所有者も常勤もいれば、週末のアルバイトの方もおり働き方も選択できる。日本では、法規制の問題があり、なかなか規制緩和が進まないと進出が難しいが民泊導入が話題になるように、いずれは議論が始まる問題である。また、神戸市でも公共交通の赤字化も問題になっており、公共交通・超高齢化社会にもライドシェア問題は対応できるのではないかと考える。

各国の自動車業界も、これらのライドシェア業界と連携し始めているので自動車産業の盛んなわが国も、規制緩和をはじめ、シェアリングエコノミーなどを真剣に検討しないと、世界から取り残されることになりかねないと考える。

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