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韓国姉妹都市等提携5周年記念訪問レポート(後半)

2015.08.30

2日目午後からは、仁川広域市からKTX(韓国高速鉄道、残念ながら仏のTGVの技術を採用している)に乗り大邸(テグ)広域市に移動しました。後半は大邸広域市についてレポートします。

【視察先4箇所目】大邸デザインセンター:ここは国、市がそれぞれ50%出資して作った財団法人です。業務は主に地場産業の支援・育成やデザイナーの育成を行っています。9階部分にはデザイナー志望の学生育成をしており、24時間使えるように食、住環境が整っています。私たちが訪問した朝の9時過ぎでも、すでに学生達が集まってミーティングを開いていました(※写真1)。2年間でのべ120名が卒業しており、約100名程度が国内大手企業にデザイナーとして就職しています。3階にはマテリアルバンクと称するフロアになっており、世界中から約7000万種類の様々な素材を集めています(※写真2)。ここは、地場産業である繊維メーカーなどの素材も置いてあり、地域の地場産業の見本市や研究・確認・発信地にもなっています。利用するには会員制をとっており、企業規模により会費額が異なっているそうです。変わった素材としては、腐るプラスティック(廃棄後は自然に戻る)、光を通すコンクリート(後ろから光を通すことで図柄に見える)など面白い素材がありました。そして、高齢者雇用創出コーナーもあり、廃棄繊維(衣料)を集めて再利用するという取り組みを高齢者を雇用して行っています。3年間でのべ350人の雇用実績があります。2階にはそれらの素材を使って若手デザイナーがデザインしたグッズ販売もしています。
※写真1
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※写真2
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【視察先4箇所目】大邸薬令市(市場):周りを高い山々に囲まれた大邸市は朝鮮王朝時代から、高山などで採れる薬草に恵まれた街でもあったそうです。また、雨も少なく薬草の乾燥にも適しており昔から国内最大産地となっています。その市場が今も残っており、韓国最大の薬材市場になっています。薬材とは漢方薬の元になるもので、国内はもとより現在は中国からの輸入品も扱っており国内一の取扱量とのことで全国からバイヤーが買い付けにくるそうです。5日に1回市場が開かれるとのことでしたが、訪れた日は開催されていませんでした(※写真4)。また辺りは漢方薬小売店が乱立しており、漢方薬専門商店街化としています(※写真5)
※写真4
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※写真5
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大邸広域市は人口250万人の大きな都市(韓国第4位)で、近隣都市と合わせると約30もの大学がある教育都市でもあります。そのため繁華街は若者が多く活気を感じる街でした。また、2002サッカーワールドカップや世界陸上大会も開かれたことで有名で立派な球技場、競技場があります。現在もプロ野球(三星ライオンズ)の新しい球場が建設中です。見学にも行きましたが、市立美術館も立派なものがありました。財政を心配して、現地ガイドに聞いたところ歴代大統領が大邸市出身者が多く(現大統領も大邸市出身)とにかく国とのパイプが強く国からの補助が多いらしいです。
神戸市にもデザインセンター構想が過去あったらしく、最終的に民間企業からの不参加が伝えられ、結果実現しませんでした(現在は六甲アイランドにある神戸ファッション美術館となっている)。大邸デザインセンターは、行政から独立した機関になっており全て権限が集まってきています。それに比べて神戸市では、全て管轄部局が分かれており縦割り行政が続いておりデザイナー育成から地場産業支援までがワンストップで行われていません。このあたりの効率化が必要だと感じました。ポートアイランドには服飾メーカーも多くあることを考えれば、デザインセンターがあれば効率良くデザイナー育成や服飾デザイン・素材等の発信等ができるのではないでしょうか。
韓国に今回訪問してみて、国際空港や港湾などは、交通インフラが整っており確かに計画的に経済発展しています。しかし、旧市街に行ってみると、朝夕の交通渋滞が多く神戸市の比ではありません。街中でもバリアフリー化は進んでいない箇所もあり、観光客を迎えるサービス業の店員などの接客もまだまだと感じました。これらのことより、渋滞緩和対策のLRT導入検討や市内バリアーフリー化促進、観光客の受け入れ態勢整備など考えさせらた有意義な訪問視察でした。最後に、市長をはじめとする関係部局、先輩議員の皆さま、同行された方々ありがとうございました。

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