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米国視察報告・マイクロソフト編(4)

2017.11.9

2017.7.28  14時~

 

マイクロソフト社訪問 【Executive Briefing Center】

 

キャンパスと言われるぐらい広大なシアトル近郊にあるマイクロソフト社に訪問した。

最初に、シアトル市会議長婦人であるMrs.Joanne Harrell からマイクロソフト社についての説明があった。

〇マイクロソフト社について Joanne Harrell 氏

マイクロソフト社は1975年ニューメキシコ州アルバカーキで、ポール・アレン、ビル・ゲイツ氏によって設立された。1979年にシアトルに本社を移転した。全世界125都市に展開しておりその中の半分は米国内にある。年間895億ドルの売り上げがある。

1000人以上の研究員に年間10億ドルを投資して、イノベーションを起こしている。

マイクロソフトは信頼のできるITシステムづくりのため、様々な取り組みを行っている。企業の社会責任を意識して、社会貢献のため寄付や環境問題にも取り組んでいる。

 

〇City Next Overview について   Trudy Norris-Grey 氏

 

マイクロソフトはシアトルの最も信頼されたパートナーである。こちらでは、都市の重要性についてまた、ナショナルプラン(国家計画)を担当している。

世界の人口1/2は都市に住んでいる。GDPの80%は都市から生み出されている。将来は2/3は年に人口が集中する。この計画の80%は経済発展につながるようにされており、それが経済成長につながり市民関与していく。また、都市は大きいほど生産性が高まる。

しかし、都市が大きくなるほど問題点が複雑になる。例えば、2020年 25億台の車が路上に出るようになる。そうなると、UberやRyfut社のような車両シェアサービスが求められる。下水、水道、エネルギー、安全性、緊急対応などの市民の期待にローコストで対応するにはどうすればいいのか?を常に考えてチャレンジをしている。

皆さんはどのようなチャレンジをするのか?

データプライバシー(個人情報)につてのデータセキュリティについても重要な課題である。

マイクロソフト社はユーザーの皆さんが安心して使用できる製品づくりを目指している。都市、まちをいかに安全・健康にするのか?市民が長寿、健康的な生活がおくれるか?などの戦略プランを考えている。そのためには、スマートシティの共有、温室効果ガスの削減、ディジタルシティへと継続して変革しなければならない。また、どのようなプラットフォームでも活用できるようにしなければならないと考えている。それが将来への橋渡しに繋がる。

 

戦略プランには5つのソリューションシナリオを挙げている。

  1. サステイナブル シティ
  2. ディジタル シティ
  3. セーフティ シティ
  4. ヘルス シティ
  5. エデュケイテッド シティ

ストリートファニチャーのようなストリートサービスもテクノロジーを使って市民に提供することができる。しかし、アプリケーションサービス作成には資金がかかる。

例えば、これらのことを活用してのスマートビルについてのプランがある。

ビル内のデータ収集を分析して、より効率的なヒト、モノ、エネルギーを使用するようにできる。また、ビル単位も1個から複数のスマートビル群を管理することもできる。

 

植中議員)トランプ大統領がパリ協定離脱を宣言したが、マイクロソフト社の温室効果ガス削減方針と矛盾するのではないか。

答)確かにトランプ大統領はパリ協定から離脱宣言したが、米国内では全都市が同意している訳ではない。国内40の都市がパリ協定を継続すると宣言している。それは増え続けており、マイクロソフト社もそう思っている。

 

山本議員)マイクロソフト社と行政の共同チャレンジがあれば教えて欲しい

答)シアトル市のハレル議長によると、シアトル市予算の54%が港湾関係に予算が割り当てられており、残りの予算の中から市民サービスに対応しなければならない。そのため市民問題には効率化で対応できるのではないか。

例えば、市民安全のためには警察にはボディカメラを付けることで発砲した場合には3mの誤差で場所が分かる。そして、すぐ駆けつけることができる。

公共交通は、Uberなどのシェリングサービスなどもアプリで対応できる。教育も講師が遠方からでも遠隔授業が受けられ、講師の移動も不要で効率的であるなど、マイクロソフト社は市民サービスの観点からもまだまだ効率化できると考えている。

〇 IoTソリューションの将来展望について

Enrique Audaluz 氏

 

将来的には人々が生産性を上げるため、AI、ロボット、人間、機械が共同で仕事をするようになる。そのためには、新技術の開発、しいては人々の益々豊かになる社会づくりを目指さなければならない。

マイクロソフトの役割、変化については次の通りである。

 

・Device Connectivity & Management

・Date Management & Light

・Advanced & Analyzed

・Business Productivity & Process Optimization

 

これらのことより、コネクションデータの役割、データの管理、AIでの利用につなげたい。

それらを使い、工場ではローコストな関係性を構築して、コントロールルームが拠点となり、より効率的な製造している会社もある。

例えば、SANDVIKというスウェーデンに本拠を置く工作機械メーカーがある。主に超硬切削工具、鉱山作業用輸送機器、ステンレス鋼帯などを供給している会社である。

マイクロソフト社の顧客でもある、SANDVIKからの声を聞くことも必要で、なんとか品質向上につながらないかという事で、ディジタルツインシステムという技術を採用した。これは、切削技術向上のため機械に処理能力を与えるというシステムである。切削機械のパフォーマンスが低下すれば、機械が発する微妙な振動を自動的に感知して、微調整してパフォーマンスを高めるというシステムである。

このように、マイクロソフトのIoTソリューションはこのような箇所でも活躍している。

 

 

次はマイクロソフト社の中枢部とも言われる、サイバーディフェンスについてのオペレーションセンター視察とレクチャーだったが、このマイクロソフト本社キャンパス内の別の場所にあるという事で、バスに乗り再び移動する。

 

 

16:35~

〇Cyber Defense Operation Center

※ここでは、録音、写真は一切禁止されておりメモを頼りにレポートをまとめました。また、場所も公表されておらず建物外部にも表記がないため何をしているオフィスかも分からないようになっていました。

 

ここでは、サイバー犯罪を防ぐために約100名の熟練した技術者が常に監視を行っている部署である。今や、サイバー犯罪は組織犯罪レベルでの対応を行っており、ハッカーは個人だけではなく企業単位での犯罪を行なっている。

そのため、我が社だけではなく他社も含めて業界全体での取り組みが必要となっている。現在は3兆ドル相当分が破壊されているが、2020年までには8兆ドルになるという予測である。ハッカーは2桁ぐらいのコードを変更、改良してハッキングするため、誰でも少しの知識と資金があれば可能である。これらは勝てる戦争というレベルではない。ひとつのゲームのような遊びであると犯罪者は考えている。被害者(PC)に潜入しているウィルス平均期間は140日である。その約4か月間は進入して情報収集している。

世界中の企業のうち、88%はサイバー犯罪を懸念しているが、12%は必要ないと考えている。マイクロソフト社はもちろん前者である。

このサイバーセンターでは、すでにウィルスに侵入されているという考えで対応している。まずは、個人向けのフィッシングメールから始まる。DDoS攻撃も増える。マルウェア、ランサムウェアは一番効果がある攻撃であり簡単でもある。

犯罪者の進化に対して、マイクロソフトも進化が必要である。

 

実際にミーティングルームを移動して、隣のオペレーションエリアをガラス越しに見学させていただく。

このセンターは365日24時間、オペレーションが実施されている。また、センター内50名のスペシャリティー技術者が対応中である。しかし、内部には50~60台のPCディスプレイがあるのだが数人しか勤務しておらず、訳を聞くとほとんどが自動化されており、各ディスプレイを見続けなくても良いとのことであった。全世界に100か所、3500名もオペレーターがおり、連絡を密にとっている。毎年10億ドルをこのセキリュティーに投資している。

事が起こるとチームで動くようになっており、そのチーム単位は危険ランクごとに組まれるようになっている。エリア内はモジュール化されており、拡大、縮小できる対応になっている。実際のエリアには、1列目→2列目→3列目をレベル重要性で列ごとに対応するようになっている様子であった。

エリアの雰囲気は、窓がありそこから外部の光が入り照明も明るく、普通のオフィスに見え、とてもここで、そんな需要なオペレーションが行われているとは感じさせない。しかし、トラックが突っ込んでも絶対に壁やガラスが破られないように工夫されており、外部のプランターなどで見えないように対策がとられている。屋上には発電装置、システムがダウンしてもクラウドでの対応ができるなどバックアップ対応も考えられている。

 

坊池議員質問)ここの熟練技術者が内部からのハッカーにならないのか。

社員がハッカーにならないようなモチベーション作りが様々に行われている。

外部から遮断しないように、窓があるのもその一つであるし、照明の照度、色も考えられている。それらの環境づくりと共に、職員をレッドチームとブルーチームに分けていることである。レッドチームの社員はマイクロソフトのシステムを壊すことを目的にしている。現在のシステムを壊すことで新しいものを作ることを通し、モチベーションを保つのである。自ら作ったシステムなので、自ら壊すことは容易く、そこで歯止めをかけているとのこと。

 

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